三人娘、そして、ふたり

「まぁ、そんなわけで先の感想なぞ聞かせてもらおう」
「…何がそんなわけなのか、よくわかんねえんだけど」
「気にするな。そなたらの奇譚のないところが聞きたいのだ」
  シミュレーションルーム。影護、ガイ、そして三人娘が椅子をならべている。
「でもよぉ、えーと」
「影護でよい。敬称はいらぬ」
「じゃあ影護。感想ったって…何をどう言えばいいんだ?」
「なんでもよい」
「なんでも?」
「ああ、そうだ」
  影護は腕組みをし、大股でどっしりと椅子に座り直した。
「そなたらは、このヤマダも含めて決して素人ではない。そなたら三人は実戦経験こそないがプロスペクターに腕を買われてやってきた。ヤマダは軍での実績がある。まぁ熱血が過ぎて失敗も多かったようだがそれも過去の事。今は違うのだろう?ヤマダ」
「ああ、そうだ。俺にゲキガンガーはまだ早(はえ)ぇ。ナナコさんが教えてくれた事、忘れちゃいねえよ」
  ニヤリと不敵に笑うガイ。こういうとこだけは変わらないようだ。
「なあ、影護」
「ん?なんだスバル」
「ヤマダの言うナナコさんって…あんたが連れてたあの女だよな?」
「亜希か。いかにもその通り。あれは我の妻にしてこの隊のオブザーバーでもある。残念ながらエステに乗るには身体が弱すぎるのだが…それがどうした?」
「すげえ強いってヤマダが言うんだが…本当なのか?そのヤマダとさっき、これで手合わせしたんだが」
  そう言うと、親指でクイッと背後のシミュレータを指さす。
「熱血馬鹿とか聞いてたからどれほどのもんかと思ったけど、強えじゃねえか。えれえ目にあったぜ」
「…あたりまえだ。いくら今の軍が腐ってるといっても現場は違うぞスバル。ヤマダはその中で一流だった男だ。才能はあっても経験のないそなたらでは相手にならぬ」
  まったくそなたは熱血だな、と呆れたように笑う影護。何しろ配属されてまだ一日経っていないのだから影護の呆れも当然と言えば当然だろう。
  対して、へへ、と苦笑するスバル。熱血、という言葉に侮蔑が混じってないのが彼女には嬉しいらしい。
「…なぁんかリョーコ、素直だねえ♪」
「妻子持ちにメロメロ…」
「お、おまえらなあっ!」
「よいよい、まぁさわぐな。で、それがどうしたのだスバル」
「お、おう、それなんだけどよ。…そのヤマダを本当に、その、なんだ」
「ああ、瞬殺だったぜ。正直、一歩も動けなかった」
  うむ、と苦渋の顔で肯定するガイ。
「…まぁ、そなたの疑問はもっともだな。
  仔細は言えぬが、我と亜希はかつて敵対しておった。血みどろの戦いも何度したか知れぬ。まぁ当初は我が一方的に斥けておったわけだが」
「……」
  一同の咽が、ゴクリと鳴る。
「あやつは執念でみるみる腕をあげてきた。それは凄かったぞ。不自由な身体をひきずり腕を磨き、ついにはあの黒い魔物、ブラック・サレナをも乗りこなした。」
「!!あれに乗ってたのかよ!!」
「うむ。それも完璧に乗りこなしておった」
「……」
「信じられぬか?だがこれは事実だ。…もっとも最終的に身体が壊れたがな。やはり限界だったのだろう。無理もない。当時、あれは五感のほとんどが麻痺していたのだから」
「「「!?」」」
「マジかよ!?そんなのでどうやって戦うんだ!?」
  目を丸くするリョーコに苦笑する影護。
「逆だスバル。五感がないからあやつは最強になりえたのだ」
「は?」
「IFSだ」
「…?」
「よかろう。これは戦術を磨くにも使える事だからな。特別に話してやるとしよう」
  影護はそう言って、手許の缶ジュースを口に運んだ。 
「よいか、おぬしら。
  機動兵器のセンサーは本来、全方位に効きしかも有効範囲も広いものだ。そなたらもそれは知っておるな?どうだアマノヒカル」
「はーい、わかりまーす」
「うむ、よい返事だ。
  ではアマノ、そなたはエステバリスの背後30kmを浮遊する、赤ん坊の頭大の石ころを知覚できるか?」
「…そ、それは無理だよ。バッタちゃんと石ころは違うし」
「うむ、100点だ。
  人間の五感、特に視覚は地球の生物の中でもかなり優れたものなのだ。だが反面それが限界でもある。なまじ見えるからその二次元的視覚に便りきり、センサーのもたらす情報を100%生かせぬわけだな。…ちなみにエステのアクティブセンサーはその石ころをキャッチできる。他ならぬ我ら人間がその情報を処理しきれぬだけなのだ」
「へぇ…えっと、じゃあ」
「その通り。
  あやつは…亜希は五感がなかった。普段はそれでも様々な方法で補助していたが機動兵器ではそれも使えぬ。結果としてあやつは、全ての情報を機動兵器のセンサーから受け取り、それのみで戦う事になったのだ。」
「…」
  沈黙する一同。
「最初は大変だったろう。それはつまり機動兵器と同化するに等しいのだからな。だが奴は執念でそれを乗り越えた。そして、乗り越えてしまえば後は経験を積むのみだったのだ。なにせ文字通り、身体の延長なのだからな」
「…ま、待てよ。でもそれは」
「うむ。」
  影護は、苦渋の顔で頷いた。
「あのまま続ければ、いずれは死んでおったろう。死なぬとて機動兵器から降りられなくなる。身体が機動兵器と繋がっておる事を前堤に順応してしまうのだからな。まぁその前に戦えぬ身体になったのは、あれにとってはむしろ幸いだったと言える。」
「…強いわけだ、そりゃあ」
「うむ、そうだ。だからこそ我が妻にふさわしいのだあやつは。…やらぬぞヤマダ」
「!なんだよ影護!なんで俺に振るんだよ?」
「ほう。そなた自覚がないのか。こりゃ面白い」
「なんだかなぁ。」
  クックックッ、と笑い出す影護。「?」マークを飛び交わしているガイ。顔を見合わせている娘たち。
  なんだかんだで、すっかりナデシコしている面々だった。
  
  
  
  柔らかい少女の身体が、亜希を包んでいた。
  闇の中。ううん、くん、と仔犬のような鳴き声。男女の交わりでは決してありえぬ、燃え続ける種火のようにしなやかで、弱く、しかし一晩でも続く女同士の交わり。
「…る…るり、ちゃ…」
「…」
  口をふさがれる。言葉などいらぬと肌に肌がすり寄る。まといつく熱い身体にからめとられ、動くこともできない亜希。
  ルリと亜希の交わりである。
  灯りがあれば、ルリがあの「お道具」を腰に装着しているのが見えるだろう。しかしそんな事はどうでもいい。浮遊するような快楽に包まれ、亜希は恍惚としている。逃げることはできない。硬いもので下半身を縫い止められ、動けない身体を蹂躙されているからだ。ぴくぴく、と時々亜希は震える。何度絶頂を越えたのかももうわからない。
  …気持ち、いい。
  かつての「娘」に屈伏する。それは屈辱だ。けれどそこには「男」の力強さがない。亜希はただ、快楽に身を任せているだけだ。ゆったりとした波に浮かんでいるだけなのだ。
「…まだ夢を見ているようです」
「…」
「「娘」でしかなかったあの頃…こんな日が来るなんて考えもしなかった」
「…」
「…好きです、アキトさん」
「…」
  ぺろ、と股間をなめる舌。亜希がイヤイヤする。ルリはクスクス笑うだけだ。
「…ねえ、ルリちゃん」
「なんですか?亜希さん」
「教えて欲しい事があるの」
「…なんでしょう?私の知る事なら」
「…ユリカのこと。こっちのじゃなくて…私のユリカ」
「…」
「っ!!…る、ルリちゃ…お願い」
「…知りたいですか?」
「…うん」
  そうですか、という声が闇の中で聞こえた。
  
「ユリカさんは消えたんです。ある日、突然に。」
「…どうして?」
「わかりません。ただイネスさんの話だと、ボソンジャンプしたんじゃないかって」
「…どこに?」
「わかりません。
  ただひとつ言えるのは、ユリカさんが来るとしたら「こっち」の時間しかないと思うんです。アキトさんに逢いたい、それだけを言ってましたからユリカさん」
「…そう」
「けど、こっちのユリカさんは違う。それにあの身体…亜希さんよりもずっと弱ってましたからね。心配です。」
「…」
  その口調は、寂しさに満ちていた。
「…でも、それって変だねルリちゃん」
「?え?何がですか?」
  闇の中、首をかしげるルリ。
「私にもわかんない。でも違う気がする。何かあるんじゃないかな、それ」
「…よくわからないんですか」
「ふふ。…そうだね、鍵を握るのは…イネスかな?」
「え?」
  くすくす、と笑う亜希。
「イネス・フレサンジュともあろう者が、どうしてジャンプに失敗するの?」
「?失敗してないですよ。事実私たちはアキトさんを追って来たわけですし」
「失敗してるよルリちゃん。成功してればみんなバラバラ、なんて事ありえないでしょ?しかもルリちゃん、身体が子供になってるし」
「!…子供じゃないです、少女です」
「同じだよ」
「違います」
「はいはい、いいから。…どのみち何かあるよそれ。イネスが何か企んだのか、それとも」
「…それとも?」
「イネスすら計算外の何かが起きた、か。ルリちゃんたちがバラバラにジャンプしちゃった事、イネスがたぶん火星にいる事、これは偶然じゃない。絶対何かある」
「…そう…そうですね。私、バカです。どうして気づかなかったんでしょう?」
「仕方ないよそれは。だってルリちゃんだもの」
「!ど、どういう意味ですかそれ!」
「(くすくす)知らなーい」
「亜希さんっ!!」
  どうやら、すっかり亜希は復活したようだった。にこにこと笑うとルリの身体を下から逆に押さえる。
「…え?え?」
「ねえルリちゃん。もう少し詳しく話してほしいな」
「は?…亜希さん。私、全部お話ししましたけど」
「う・そ」
「…なんでそう思うんですか?」
「ルリちゃん、嘘つく時、鼻がふくらむって知ってる?」
「!!」
  ギョッとした顔をし、鼻をおさえるルリ。
「…あれ、ほんとに嘘ついてたんだ。ひどいなぁもう」
「!!だ、騙しましたね亜希さん!」
  くすくすと笑う亜希。
「アパート時代にも同じ事やってひっかかったよルリちゃん。もう、進歩ないなあ。」
「そ、そんな事より!」
「そうそう、そんな事より話してほしいなルリちゃん♪」
「なんのお話ですか?私は何も」
「そ。いいよ別に。今ここで影護呼ぶから」
「!!!」
「喜ぶだろうな〜影護。電子の妖精とやってみたいって前言ってたし。その時はふざけんなって殴ってあげたんだけど」
「そ、そそそんなバカな事」
「影護ならいいよ別に。私、あれの所有物だし」
「わ、私はよくないですっ!!」
「だったら素直に吐く。でないと影護呼ぶよルリち「その必要はない」…影護、いつ戻ったの?」
「!!!!」
  闇の中から手が伸び、ルリの腰を掴んだ。
「な、なにするんですかっ!!」
「なに、此期に及んで今もなお亜希をかつての名で呼ぶ馬鹿娘に、身の程を教えてやろうとな」
  言いながらルリの腰に巻かれたベルトを外す。
「影護。まさかとは思うけど脅すだけだよね?ほんとにルリちゃんをや「そのつもりだ」影護!「うるさいぞ亜希。この娘が隠し事をしているのは事実なのだ」で、でも「この娘を甘く見るな亜希。お馬鹿のふりをしているがそれは欺慢だ。そなたの前で可愛らしく振舞いたいだけなのだ」」
「そ、そんなのは当然でしょう!私はアキトさんが…!!」
  むきだしの秘部に手をやり、ふたりを繋いでいる道具を引き抜く。ふたりから、くう、と声が洩れる。
「わが亜希にこのようなもの突っ込みおって。それにその名で呼ぶな。こやつは我の女。それでよいのだ」
「冗談じゃないです!私はアキトさんをきっと元に戻…!!や、やめ」
  ぴと、とルリの陰部に熱いものが当たった。
「勝手なことをほざくな、馬鹿者。
  こやつはこの世界で既に安定しておるのだ。男が女になるというのがどれほどの苦しみかそなたは知らぬくせに」
「い、いやです!やめてくださ…!!!!」
  ひぃ、という声がルリから洩れた。
「やめてほしくば言え。そなた、ここに来る時に何をした?」
「!そ、それは」
「では言ってやろうか…イネス・フレサンジュは火星に「飛ばされた」のではない。自ら火星に「行った」のだと」
「!!!」
  ルリはその瞬間、固まった。
「…影護。それ、どういう事?」
「知れたこと。そなたを元の身体に戻すにはそれが一番だからだ」
  遺跡が介在して「変身」してしまったのなら、遺跡を使って元にも戻せる。簡単な理屈だった。
「で、でもイネスは私の現状なんて知らないはず」
「亜希。そなたサツキミドリで白衣の女を見たろう」
「!!」
  今度は亜希が絶句する番だった。
「当然だろう。イネス・フレサンジュはA級ジャンパーだ。CCの用意くらい当然やっておるわ。以前の歴史とは違う」
「で、でもどうしてイネスが」
「歴史の相異点に気づき、確認に来たのだろう。あれはミスマル・ユリカとは全く別の意味でおそろしく頭のまわる女だからな。…まったく、そなたのまわりには厄介な女ばかりおるものよ。どいつもこいつも」
「そ、そんなことより!やめて、やめてください!さもなきゃ」
「ひとを呼ぶなら呼べ。その前にコトは終わっておる。なんならオモイカネに助けを呼ぶか?いかに自意識があろうと何もできぬぞ。そもそも我が死ぬ時、それは亜希も死ぬ時なのだからな」
「わ、わかりました!謝りますから!だから」
「ならば誓え、妖精よ。亜希が望まぬ事はせぬと。アキトと呼ばず、「向こう」に無理矢理連れ帰るなどと考えぬと。さあ誓え」
「!そ…それは」
「そうか。ではこのまま犯るぞ」
  グ、と影護の腰が少し前に出た。ルリがビクビク、と反応する。
「!!た、たた助けて亜希さん!いや、いやです亜希さんっ!!」
「……」
「…あき、さん?」
「…」
  亜希は、悲しそうな顔でルリを見ていた。
「ルリちゃん。そうまでして私を男に戻したいの?」
「!あ、あたりまえじゃないですか!ユリカさんだって「待ってないよ」!…あ」
  ルリの声が力をなくしていく。
「で、でも、こんなの不自然です。誰かと結婚して幸せに暮らすのならそれでもいい。あきらめます。…でもどうしてこのひとなんですかよりによって!」
「…ルリちゃんにはわからないよ。わかってほしくもない。」
  亜希の手がルリの顔に添えられる。
「ルリちゃん…私が好き?側にいたい?」
「…」
「素直に答えて」
「はい」
「そう。…でもねルリちゃん。私といるって事は影護にも従うってことだよ?」
「!!」
「わたしは影護のもの。影護はわたしのもの。それが私たちの盟約。それに食いこもうとするんだから、ルリちゃんだって影護のものにならなくちゃダメ」
「……」
「答えて」
「……」
「ルリちゃん」
「…そんな。それじゃ私に選択肢なんて「答えて」…わ、わ」
「わ?」
「……わかり…ました。従います。亜希さんのために」
「そ。」
  亜希は苦笑した。そしてルリの顔を両手で挟んだ。
「一緒にいよう、ルリちゃん。…これから私たちは姉妹だよ」
「…はい」
「裏切っちゃ嫌だよ、ルリちゃん。いくらルリちゃんでも許さないからね」
「…わかり…ました」
「ん、いい子」
  ふふ、と微笑む亜希。
「影護、いいよ」
「わかった」
「!!!」
  ぎゃあ、という悲鳴が聞こえたかと思われた。
  ルリの性器に男根をつきつけていた影護が、それにグイ、力を加えたのだ。まだ突っこんではいないが。
「いやああああああっ!!!」
  ほとんど半狂乱のルリの叫びが、部屋中にこだました。
  
  
  
「…あのねえ影護。…やりすぎ」
「ふん」
  疲れ果てたルリが、すやすやと亜希の横で寝ている。
「本当にやっちゃダメでしょ?もう」
「やってはおらぬ。先がちょっとめりこんだだけ「一緒よ」…そうか?」
「もう…トラウマになったらどうすんのよ。かわいそうに…」
  なでなで、とルリに頭をなでる亜希。
「しかしこれで、二度とそなたに逆らおうなどと思うまい?」
「…だーかーらー、やりすぎだってのに。影護、あんたまさかルリちゃんに気が…」
「少女趣味はないぞ我は」
「本当に?じゃあ、マキビ君でなくラピスを拐ったのはどうして?」
「あれか。それは黒き妖精の方が有望だったからだ。それに少年の方は家庭にあずけられておった。そして黒き妖精はいわゆる秘匿実験体。どちらを拐うかは明白だろう」
「…ふ〜ん…」
「こらこら、そんなに我を変態にしたいのかそなたは」
「…ま、いいけど」
「…」
  むう、と困惑の顔を浮かべる影護。
「それはそうと、随分戻るの早かったね。ブリーフィングとか訓練とかは?」
「スバルたちは今、熱血馬鹿と訓練の真っ最中だ。…我と妖精のこしらえたプログラムでな」
「はん…なるほど。底上げね」
「うむ」
  現時点で既に、ナデシコの戦力は過去の歴史に比べ各段に高い。
  だが、火星でどれほどの戦闘になるかはわからない。また、強さというのは勝つためにあるとは限らない。圧倒的能力差があれば、強いと目立たせずにそれなりの成果もあげられるはずなのだ。
  ナデシコは、目立ってはならない。それでなくとも目立ちすぎるのだこの艦は。
  いずれは、無人兵器でなく有人のそれが投入されてくる。その時、その力は必要になるはずだった。少しでも儀牲者を減らすために。
「調子はどう?」
「ヤマダの奴が思ったより遥かに伸びておる。戦略眼もあるしな。あれは大化けするぞ。場合によっては副指揮官をさせようと思っておる」
「へぇ…」
「サツキミドリで相当な量の機体も得たしな。これに各人の腕と戦術があれば、ナデシコの側方や後方の警護もこなせよう。…おもしろくなってきたぞ亜希」
「…そっか」
  そして、にやりと笑いあうふたり。
「あと問題は…女科学者か。厄介なことになっておらねばよいが」
「あー、そればっかりはわかんないな。なにせイネスだし」
「笑えぬな、それは」
「うん」
  そう言うとふたりは、眠るルリを見降ろした。
「…あふ」
  ルリは意味にならぬ寝言を吐き、身をよじった。

hachikun-p
平成15年11月30日